社会奉仕 部門
5.質疑応答
●葉山RC:山口健次郎
『社会奉仕』とは、従来の考え方からすると、地域に対する奉仕活動が中心だと思うのですが、新たな『新地区補助金』『グローバル補助金』が、地域に対する奉仕活動をどう掘り起こすことになるのか分かりません。財団における意味合いは非常によく理解できますが、従来、財団とクラブの係わりがほとんどないなか、接点が分かりません。
○塚原サブリーダー
『新地区補助金』という新しい言葉が邪魔をしていると思いますが、やろうとするプロジェクトそのものは、従来となんら変わりません。ただ一言で言わせていただくと、従来の補助金というのは、金額に制限がございましたが、新制度ではこれがなくなります。ですから、各クラブでこういったプロジェクトを新規に行いたい、ということで充分だと思います。
○後藤リーダー
従来の社会奉仕活動における財団としての補助というのは、おっしゃるように補助金の活用だけだった訳です。基本的には、国際奉仕部門の「国際親善奨学生」がメインで、地区補助金については、地区の裁量権、内容とも乏しくて、総額で約200万円位でした。それが今後は、地区資金の半分が『未来の夢計画』として、地区の裁量権に任せられます。ロータリーは地域の奉仕活動をするべき、という原点が、ちょっと横におかれていたという反省点に基づいて『未来の夢計画』の『新地区補助金』の考え方が出てきているのではないかと理解しています。
●葉山RC:山口健次郎
どんな事業が該当しますか?社会奉仕活動の考え方が、各クラブ違うと思いますが、地域に対する活動の中のどういう部分がこの補助金の対象になるのか、審査基準がよくわかりません。また、これは申請後すぐにいただけるわけではないですよね?
○塚原サブリーダー
もちろん審査時間はかかります。審査基準については、一般的な基準があり、それに関する資料を各クラブに送付しています。
○後藤リーダー
先程サブリーダーから、第8グループの震災支援プロジェクトの話がありましたが、そのほかの取り組みについて、地域のニーズをどういう形で探し、取り組んだかも含めてご紹介ください。
●横須賀RC:越川昌光
当クラブでは、5年継続して、地域の方を巻き込んだ「市内1万メートルプラムナードクリーン活動」を実施しています。社会奉仕活動(委員会)は、基本的には地域に対する活動を主にと思っているので、チャリティーや過去5年間継続しているクリーン作戦事業を地域の方々と一緒に継続実施していく予定です。新地区補助金については、国際奉仕委員会が担当して、申請準備を進めています。クリーン活動の参加者は、ボーイスカウト、高校生、ロータリー会員で700名くらい、毎年600〜800名が参加してくださいます。広報は、広報委員会と連携して、神奈川新聞やミニコミ誌、タウンニュース、「はまかぜ新聞」にご協力いただき、この活動が知れ渡るようにしました。
●平塚北RC:渋谷精一
当クラブでは「金目川クリーンキャンペーン」事業を5年間続けています。当クラブが提唱クラブで、小学校3校の共同事業と実施しています。小学生と先生方で約1,400〜1,500名、地域の方々が200〜300名くらいで合計1,700名が参加されます。
平塚市教員委員会や、県の湘南県政総合センターから後援いただき、当日は、県の所長や市の教育長、教育部長などが、最後の移動例会まで参加されます。この地域の方との交流、小学生とロータリーとの交流については、神奈川新聞、タウンニュース、フォームジャーナルなどで紹介されました。
もともと、小学校では10年くらい金目川の清掃活動を続けていました。私は、学校評議員として学校に色々な面で関係していましたので、学校全体でせっかくやっているのだからロータリーが支援しようというのが始まりです。
当初は1校の予定でしたが、金目には他に2校ありますから、せっかくならそこにも呼びかけ、隣の地区の小学校も一緒に入れてやりたいという事で、今3校が共同で実施しています。我々が一番考えた事は、もし事故があった時に誰が責任をとるかという問題でした。実施については、校長先生に判断いただき、責任も持っていただくこととし、3校の校長先生が共同で行う形をとりました。打ち合わせも学校が主体で行い、ロータリーが支援する形態を作りました。
●茅ヶ崎中央RC:山本泰然
当クラブは、震災後AMDAと連携して大鎚町と南三陸町に対し援助を行っていました。それが一段落した後、次の支援を決めるための現地視察で、大鎚町の(ロータリークラブが消滅してしまったので)旧ロータリークラブの方と色々話した際、中学校の吹奏楽部の楽器が無くなってしまったが、クラブ活動まで公的な援助はもらえない、しかしあ、それでは楽器を進呈しようということになりました。また、ただ物をあげるだけでなく、こちらに来てもらい、こちらの中学生と交流をしてもらおうと企画し、吹奏楽部員24名と先生1名を招待しました。
茅ヶ崎では、毎年茅ヶ崎市と寒川町の中学校が参加する「スプリングコンサート」があり、茅ヶ崎中央RCの子クラブだった茅ケ崎なぎさRCが支援していたのですが、その日程が丁度合いましたので、それに参加してもらうことにし、子どもたちは茅ヶ崎でホームステイしてもらって、ジョイントコンサートとしました。
被災地支援として子供たちを招待する事業は色々あるそうですが、ホームステイという事例は初めてだったそうで、NHKや全国紙に取り上げられました。朝日新聞では事前に載ったので、当日茅ヶ崎の文化会館は満員になって、子供たちも喜んでくられたので良かったと思っております。
当初は補助金を使おうという話もあったのですが、現地のロータリークラブがほぼ機能していなかったことと、書類を書いている時間はとてもないと言われたことから、このような支援となりました。大鎚町の中学校は、何年か前に全国大会に出たことがあり、町の中で比較的有名なので、この活動を通して、大鎚の町全体を勇気づけられるのではと思いました。
●小田原城北RC:河野秀雄
当クラブでは、昨年はクラブ創立35周年で準備していたのですが、震災があったので予定していた記念行事は中止し、用意していた100万円と東日本震災復興基金からの補助金100万円の合計200万円で、福島県相馬市の小学校にテレビと百科事典を送りました。
震災後、会長、社会奉仕委員長、現地と関係のある会員の3人で行き、相馬市の校長先生とコンタクトをとれたことから始まった事業です。
昨年の4月に、創立35周年も兼ねた集まりには、相馬市のロータリアン3名のほか、姉妹クラブのテムソンリムや小田原市長、大井町長、米山奨学生などにもご出席いただき、大変盛り上がりました。マスコミや色々なPR誌にも取り上げられました。
また、先だってのスマトラ沖地震では、スリランカ出身の米山奨学生のぺリアプランカ君のカウンセラーをしていた鈴木智成会員が、何か支援はできないかと帰国していた彼にすぐに連絡をとりました。孤児支援の基金を作ってもらえれば、ぺリアプランカ君が現地で運営するとの希望があったことから、地元の企業から700万円を募り、支援基金を作りました。小学生1人の学費が年2,000円程度とのことで、それを支援しています。
孤児の支援は、今後も長期間継続してやっていかなければいけないことで、当クラブの目玉事業にしたいと思っています。また、東北の支援もお世話をできる限りしたいと思っております。
先程『夢計画』のお話が出ました。国際奉仕委員会からお話もいただくのですが、理解が難しくて、社会奉仕委員会としては、財団の補助金を当てにするような大それた企画でなくても、今までのような社会のニーズを取り入れ、少しでも良い街づくりにするプログラムを組んでやれば良いのではないかと思います。
●相模原RC:鈴木正彦
当クラブは、震災被災地支援として、震災後1週間後に、クラブ創立50周年の記念事業を縮小して500万円を相模原市の友好都市である大船渡市に、市を通して直接お送りしました。また、今年5月3日から発表を行う事業についてご報告をさせていただきます。
相模原市は、一昨年人口70万人で県内3番目の政令指定都市になった街ですが、戦後急発展したために文化が不毛の地と呼ばれており、小学校を卒業する子どもたちに、共同作業を通じて仲間の大切さを知ってもらうことと、文化的テーマをしようということで、アート作品の共同制作を行いました。
橋本に5月にオープンする、ワークショップを中心とした展示スペースを持つ市の施設『アートラボ橋本』で5月3日〜6月24日に展示します。制作にあたり、「相模市民ギャラリー」に出入りしている美大生の育成も兼ねて子どもたちの指導をしてもらいました。
社会奉仕委員会の中では、絵のコンテストをやって商品をあげようという案もあったのですが、それでは面白くないし、子どもたちのためにもならない。私は美術関係の仕事や、市民ギャラリーの学芸員をしていることから、小学校の美術先生とも知り合いなので、共同制作を考えました。
子どもたちはもちろん、担任の先生や美大生からも非常に楽しかったと言われました。案内チラシでは、ロータリーについても紹介しています。また、展示スペースが新たにオープンする施設なので、市でも広報されています。他クラブの活動もお聞きしたので、今後活動を広げていきたいと思います。
●厚木中RC:鈴木八四郎
当クラブでは、長年にわたって花火大会後のクリーン作戦や清掃事業を継続してやってきましたが、実際にはごみは全然なかったりして、もう少し気の利いた取り組みはないものかという状態でした。今は、神奈川新聞を通して、仙台の高校で修学旅行に行けない生徒を支援しようではないかとか、色々と模索している最中です。
私個人は、運送事業をしている関係で、被災地に救援物資を10数台送ったり、また、地域のクリーン作戦と称して業界あげて地区の方々に協力をお願いしたり、交通の激しい地域なので、交通安全週間には、通学路に立って学童の安全を守るといった奉仕をしています。
私は、ロータリー歴は3年目で、見よう見まねでやっておりますが、できるだけクラブ内の意思の疎通を図りながら、本当に地域密着型の活動をしていきたいと思っています。
●伊勢原RC:内田智久
ロータリー歴2年目で何もわかりませんが、ホームページで、クラブの夢計画に基づいた支援、補助金の在り方という欄を見ますと、2億4000万〜32億円の補助があると載っていました。これがどういうふうに配分されるのかが疑問なのと、申請の仕方をもう少し勉強しなければ、事業として箸にも棒にもかからないという気がしました。
私は、沖永良部島の出身ですが、小児科医をしている同級生が、大磯町に、余命少ない難病の子のための施設「海が見える森」を今年10月にオープンする予定です。子ども向けホスピスは、日本で初めての施設です。スタッフは全くのボランティア、資金は寄付金で賄われるもので、日野原先生が理事長を務める聖路加病院の副院長とその同級生が一緒に運営するような状態です。社会奉仕とはちょっと違うのかもしれませんが、新しい事業として、当地区にできるこの小児ホスピス用療養施設を少しでも支援できないかと考えています。
○後藤リーダー
ありがとうございました。率直な新しい感覚で問題提起をしてくださり、感謝申し上げます。次に、地区への要望等について伺います。基本的には、奉仕活動の主体はあくまでも個々のクラブにあるわけですが、地域の社会奉仕や、もっと大きな人道的な奉仕を行う国際奉仕の場合でも、個々のクラブでは小さくて、なかなか活動ができない、ニーズの掴み方がわからないということもあるかと思います。どういう点が地区として足りないのか、率直な要請があればお願いします。
●相模原西RC:青塚淳次
私は、今年社会奉仕委員長2年目ですが、私個人としても、またクラブの中でも、支援のニーズをどうやって探したのか、何がきっかけで奉仕活動ができるようになったのか、いつも知りたいと思っていました。当クラブの事例では、石巻市で40年間続けてきた少年少女の剣道大会が、震災の影響で開催できず、今年再開するにあたり、スポンサーがいないので、当クラブとタイのクラブと他のクラブの3クラブ合同で資金を出し合うこととしました。当クラブの会員に剣道の経験者がいて、たまたま石巻の剣道の方と知り合いだったことから、そういうニーズを探し出せました。地区から、どうやってニーズを集めたのか、情報をいただければと思います。
●小田原城北RC:河野秀雄
一言だけ、感じたことを最後に言わせてください。社会奉仕活動はニーズに応えて行うことは当然ですが、目に見えるものは金品です。まず物や金ということになります。私は、それと共に心も送らなければいけない。ロータリアンが行う奉仕は、金品だけではなく心もつけて送るべきだと感じています。
ある大先輩から聞いた、アメリカの喜劇王のダニーケイの話ですが、彼は舞台に上がる前に全部ライトを落とし、上がる時に、お客様にマッチを1本ずつ刷ってもらう。そうするとその人一人の善意が周りを全部明るくするというのです。それも社会奉仕活動に関連していると思います。
また、ブラジルのある村のトウモロコシのブルーリボン賞という話ですが、トウモロコシの品評会があって、一等賞になった人が、村人全部にその種を配ったところ、村そのものが、どこの国にも負けないトウモロコシの生産地になり、村が隆々と栄えたとのことです。
それから、仲田年度の2005−2006年度の地区大会で、韓国出身のRI会長代理カン・スンヨン氏が、マザーテレサのお話をされました。彼女は、ロータリーの方々に深く感謝している、物や金をたくさんいただくが、その中に慈愛の心や親愛の心、思いやりの心があったらもっといいわということをカンさん言っておられたとのことです。
ロータリアンから杖を送ってもらうのは嬉しいことだが、杖を突いて交差点を歩いている時にそっと差し出してくれる小学生の手のぬくもりを忘れられない、と言った方もいます。 奉仕をするには、物や金を出すだけではなく、やはりロータリアンが行って、奉仕をし、喜びをお互いに知ることが大事だと思いました。
○後藤リーダー
ありがとうございました。限られた時間でしたが、今後の皆さんのご活躍を祈念いたしまして、このセッションを終わります。どうもありがとうございました。
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