米山奨学 部門
2.当地区の奨学生選考状況と
奨学生の現状について
サブリーダー 小島 晧史 (鎌倉中央)
皆さま、こんにちは。米山奨学委員長の小島です。どうぞよろしくお願いいたします。
この経済状況の中、米山奨学金の減少により、次年度から奨学生の採用数が、800名から700名に減らされます。そういう中でも、私たち地区の個人平均寄付額では、日本の34地区の内、第4位という素晴らしい結果が出されていますのは、皆さまのご協力の賜物です。ありがとうございます。
先日、14日に会長エレクトとカウンセラーさんの、オリエンテーションを行ないました。
カウンセラーの方と、米山奨学委員長の皆さんとの役割は違います。奨学委員長の皆さまには、ロータリアンが気持ち良く寄付をして下さるような情報を与えていただきたいと思います。米山ニュースは毎月クラブさんに送っております。こういうものの利用や、地区の主催によるセミナーや行事、また、学友会の行事などに加し、感動したことがありましたら、ぜひクラブに伝えていただきたいと思います。
1月の面接試験は、応募者65名、その内2名が書類選考で無資格者となり、63名が受験しました。合格しました新規奨学生は21名です(男13 女8)。中国9名 韓国4名、台湾2名、フランス1名、タイ1名、ネパール1名、マレーシア1名、コートジボアール1名、バングラデシュ1名です。フランスとコートジボアールは当地区では始めての奨学生だろうと思います。
継続奨学生は8名(男2 女6)です。中国3名、韓国2名、ネパール1名、タイ1名、台湾1名です。合計29名ですが、今年の9月に卒業される方が、新規奨学生で2名、継続奨学生で3名います。
それでは、この奨学生たちをどういう手順で採用しているのか説明します。始めに奨学会の理事会・評議員会で地区別割当数が決定されます。今までは全体では800名の採用ですが、海外学友会推薦3名と現地採用(ベトナム)2名の5名を除いた、795名を、34地区に寄付額に応じて割り振っておりましたが、ベトナムでの現地採用はなくなり、代わりに、海外応募者対象ロータリー米山記念奨学金制度というものが今年から始まりました。
割り振るための算出方法は、豆事典にありますが、それで決定したポイントを地区に連絡してきます。人数ではなくポイントというのは必ず端数がでまして、これも使います。20ポイントというのは20名で、20.5ポイントというのは、6ヵ月の人を1人いれた21人の事です。その後、本部から地区内にある指定校と被推薦者数を決めるための資料が届きます。
当地区では、地区内の大学すべてを指定校としています。昭和音大が他地区へ移転しましたので、今は25校が対象です。大学によっては、毎年留学生がいるわけではありませんが、大学で資格者が1名でもいる場合は、必ず1名の被推薦者枠を大学に与えています。
時々、6ヵ月の学生は採用しなくてもいいのではないか、時間が短くては成果がでないのではないかと言われる方たちがいます。しかし、毎年、奨学生の中には9月に卒業する「1年半」という人もいますので、ポイント上0.5ポイントが生まれます。 この0.5ポイントの1人を切ってしまうよりも、機会を与えるべきではないかと考えます。
また、過去には、6ヵ月でも大変素晴らしい活動、交流をしてくれた奨学生たちもいます。その後、これを機会に学友会に継続的に参加してもらえれば、無駄にはならないのではと思います。
推薦されてきた申込書、教授の推薦書、自国での成績書、研究計画書と小論文など、必要書類は一人当たり15頁ぐらいに目を通します。面接試験は毎年1月に行なわれますが、事前に研究計画書と小論文にも評価点を付けておきます。面接は最後の人がまつことのないように4グループ位に分けて行ないますが、朝8時半に集合して面接だけでも8時間ぐらいかかります。
この時の面接官は大体6名です。ガバナー、ガバナーエレクト、米山の理事、評議員そして地区米山の2委員長です。
この面接も10点法や5点法で評価します。質問内容が受験者によって変わらないように、6名が事前に何を聞くか決めておきます。小論文よりも面接を重視する傾向がありますが、この面接もやはり、学業を優先する面接官、人間性をみる面接官、と年度によってありますが、経済性はあまり考慮しません。一部の人から医者や弁護士の子供は合格させるななどとか、勉学優先ではなく貧しい人こそ選ぶべきではないかといわれたことがあります。
心情的にはわかりますが、親の職業のために、奨学生として選ばれなかったり、優秀な学生が経済的に余裕があるというだけで奨学生に選ばれないということの方が問題ではないでしょうか。
親の職業だけは履歴書でわかりますが、職業だけで金持ちかどうかなど判断できるはずがありません。赤字であったり、大変な借金をしているなどということは書かれていませんので。
昨年度の地区大会にホームカミング制度でお呼びした徐さんのスピーチにもありましたが、家の電気代を節約するために山手線に終電まで乗って勉強していたという話もございました。
昔の留学生は朝から晩までアルバイトしなければ生活に困ったのに、今の学生はアルバイトする必要もないし、経済的にも余裕があるのではないか、という声も聞こえてきますが、実際にそういう留学生が増えてきています。
なぜなら、日本政府の方針で、経済的に困っているような学生の来日を許可しなくなっているからです。日本政府がこれまでに受け入れてきた私費留学生は、経済面での裏付けがなくても、また、十分な預金もないし、母国からの送金も期待できないような学生でも入国できたわけです。今は、入国管理局がこういう留学生の来日を事前に防いでいます。経済面での裏付けをかなりしっかりとるという政策に数年前から変わっています。
面接に戻ります。面接が終わるとすぐに面接官の総合採点を出し、それを元に、今度は米山委員会全員で再審査します。誘導係や、待合室での態度なども面接官以外の人が意見を出しあいます。また、国の偏りがないように考慮したり、大学への考慮なども話し合われます。そして決定したものを後日、奨学生個人ではなく大学へ通知します。
ガバナーが公式訪問に伺うと必ず出るのが、なぜ中国人が多いのかということだそうです。米山奨学金の特長の一つは、日本の民間奨学団体で最大の採用数であるということです。2012学年度採用は826名、累計17,029名です。国別では、中国51%(420名)、韓国17%(140名)、ベトナム8(70名)、台湾5%(38名)、その他19%(158名)です。なお在日する留学生138,000名のうち、63.4%の87,000名の留学生が、中国からの留学生です。そのため、応募時は、中国出身の留学生の占める率は、6割に登りますが、採用時には、5割を超えないように抑えています。
ロータリーとして、幅広い国・地域からの応募・採用を方針とするものの、日本をあえて留学の地として選んでくれる留学生の6割が、中国の学生さんでもあることを認識していただきたいと思います。
尖閣諸島問題の後には、中国人留学生に支援する必要があるのかと言われる方もいます。あの時、中国の奨学生で「政府も国民も皆、同じと思わないでくれ」と泣いた学生がいました。共産党を研究している学生でも、日本へ来て初めて、自分が習ってきた事が事実と違うということが判ったと言っていました。
大連出身のその子は、お爺さんがよく言っていたそうです。「政府はああ言っているが、本当は日本人は優しかった。ロシアが入ってきてからは本当に大変だったと」。だから、小さい頃から日本に憧れていたそうです。まだまだ挙げたら切りがありませんが、大学側も、米山奨学金への学生を推薦するには、中国人でも日本が好きな学生を推薦してきていることと思います。
月信にも書かせていただきましたが、東京RCができましたのは1920年です。その1年前、1919年に上海RCはアジアで2番目のクラブとして創立しています。今の上海RCと北京RCは外国籍のパスポートをもった人のみのクラブですが、始めのときには、中国人も大勢いたことが記録されています。
1935年にポールハリスが上海RCを訪れた時の会長、朱博泉さんは、4回の投獄をされながらも中国にとどまりロータリーが中国へ再び取り入れられる迄生きていたいと望んでいましたが、103才で亡くなられました。
日本が好きで来ている学生を蔑視するのではなく、むしろ支援して、日本との友好な関係になるよう育てていき、そして中国本土に、米山奨学生たちのロータリークラブができていけば、日本のため、世界のため、ロータリーの会員増にもつながるのではないでしょうか。
←プログラム(目次)へ戻る
米山奨学 部門