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3.財団奨学金の意義について
サブリーダー 藤村 昌一 (横須賀)
現行の奨学金制度である『財団国際親善奨学金』は、今年7月の派遣奨学生を最後に終了いたします。

この制度は、1947年当時、世界が過去30年ばかりの間に2度の世界大戦を経験し、その傷跡の癒えぬ間に早くも旧植民地の独立戦争や東西冷戦の兆しが現れる中で誕生しました。それは、平和の親善大使として、奨学生の派遣と受け入れといった草の根の民間交流を通じて、社会制度や文化への相互理解を深め、無理解や無関心から生じる誤解や偏見を無くし、二度と戦禍を繰り返さない、という国際ロータリーの決意であり、また、国際平和のリーダーシップを担う人材育成の試みでありました。

以来、民間最大の奨学金制度として、41,000名以上の留学生を送り出し、その卒業生である財団学友から、元国連難民高等弁務官の緒方貞子氏や女性宇宙パイロットの山崎直子氏をはじめ、数多の著名な専門家や芸術家を輩出してまいりました。

特長の第一にカウンセラー制度があげられます。単に奨学金の支給のみならず、派遣元と受入先のロータリークラブの双方のカウンセラーが、留学前の準備から留学中、そして帰国後に至るまで、奨学生のためのさまざまな便宜やサポートを担い、その留学体験を一層中身濃いものとするものです。

また、奨学生は、留学中、複数のクラブ例会に出席するとともに、自分自身や自国の文化などを紹介するスピーチを行い、帰国後は財団学友として、派遣元地区の複数のクラブ例会で、留学体験の成果の発表が義務付けられています。

冷戦終結後、イデオロギーの相克や軍拡競争といった世界政治のパラダイムが、グローバリゼーションや南北問題といった新たな課題にとって代わりました。つまり、地球温暖化や水質汚染などの環境問題や、先進国と新興国間の化石燃料やレアアース等の地球資源の獲得競争、そして、富める国と貧しい国々との格差の拡大、といった諸問題の解決が世界平和の要となってきています。

また、インターネットの普及によって、政治的なフィルターを通さない情報のグローバル化が急激に伸展しています。

こうした世界政治や経済、そして情報伝達の変化を受けて、2012−2013年度より、FVP制度のもとで新しい奨学金制度に移行します。制度の詳細については、現在検討段階ですが、グローバル補助金と新地区補助金から各一名の奨学生を派遣する予定です。

しかし、制度は変わっても、世界平和を担う人材育成のためのプログラムとして理念は今後も変わることはありません。

最後になりますが、1947年から65年間続いた制度の大きな見直しということですので、試行錯誤しながらも、ドナーである皆さんのご意見を新しい制度に反映させていきたいと存じます。
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